
セキュリティ研修の効果を最大化する実践アプローチ

セキュリティ研修、ちゃんと効果出ていますか?
セキュリティ研修は、多くの企業で実施されています。情報漏洩や内部不正、サイバー攻撃といったリスクが年々高まるなか、従業員のリテラシー向上は重要視されています。
しかし一方で、「研修を実施しているはずなのに、効果が実感できない」という声も少なくありません。
たとえば、こんな悩みはありませんか?
- 内容が印象に残らず、受講直後に忘れてしまっている
- ただ受けただけで終わり、現場での行動に変化がない
- 忙しい合間に無理やり時間を確保してもらっており、集中できていない
- 「またこの研修か」と、形式的に受け流されてしまっている
「せっかく時間もコストもかけているのに、これで意味があるのだろうか?」
そう感じたことのあるご担当者も多いのではないでしょうか。
実は、これらの課題の根本には「研修の内容」そのものではなく、「研修の受け手側の姿勢」が深く関係している可能性があります。
なぜ「主体性」が学習効果を高めるのか?
「研修の効果が感じられない」という課題を詳しく分析していくと、重要な要素が見えてきます。それが、「受け手の主体性」です。研修の効果を高めるためには、受講者が積極的に参加し、自ら学び取ろうとする姿勢が不可欠です。
「自分ごと」として学ぶと、人は記憶に残る
心理学の分野では、人は自分の意思で取り組むことのほうが、記憶に残りやすく、行動にもつながりやすいとされています。これは「内発的動機づけ」と呼ばれ、自ら意義を感じて学ぶ状態のほうが、学習効果が高まると実証されています。
例えば、興味のあるテーマについて自主的に調べたことはよく覚えている一方で、興味のないことを無理やり覚えようとしてもすぐに忘れてしまう、といった経験は誰にでもあるでしょう。
この考え方は、「自己決定理論(Self-Determination Theory)」という理論にも裏付けられています。自己決定理論は、人が自律性、有能感、関係性を満たすことで、内発的動機づけが高まり、学習効果も向上すると考えます。
人は、自分で選んだと感じること、自分の成長を感じられること、他者とのつながりを感じられることに対して、より深く関与しようとする傾向があります。
研修でも「主体性の有無」が結果を分ける
実際、主体性の有無は、研修の成果に大きな差を生みます。
たとえば、受講者自身が「どこから学ぶか」「どの順で進めるか」を選べる研修では、そうでない場合に比べて完了率や満足度が高まるという調査結果があります。
また、研修の目的や背景を事前にしっかり共有した場合、内容への理解度や記憶の定着も高くなる傾向が確認されています。
いずれも共通しているのは、「やらされる」研修よりも、自らの意思が介在する余地のある研修のほうが、学びが深まりやすいという点です。
やらされ感のある研修では、情報がただ流れていくだけになりがちですが、自分で選んだ・納得して受けた研修は、「自分ごと」として頭と心に残りやすいのです。
セキュリティ研修においても、この「主体性」が重要なカギを握ります。
では、具体的にどうすれば「やらされ感」を減らし、受講者の主体性を引き出すことができるのでしょうか?
効果が変わる!主体性を引き出す研修の実施方法
「研修は受けさせているのに、なぜか現場に変化がない」
「ルールは学んだはずなのに、うっかりミスや油断が減らない」
そんな悩みを抱える担当者は、少なくないのではないでしょうか。
これは、研修の内容に問題があるのではなく、「伝え方」や「受け手の受け止め方」に課題がある可能性があります。
セキュリティ研修は、単に情報を伝えるだけでは十分ではありません。
受講者の「主体的に学ぼう」という意識を引き出すことで、初めて記憶に残り、行動につながる学びになります。
ここでは、受講者の主体性を高め、研修の効果を変えるための実践的な対策を3つご紹介します。
受講者に「選択肢」を用意する
すべての受講者が、同じタイミング・同じ方法で学ぶ必要はありません。
たとえば以下のように選べる余地を持たせることで、受講者に「自分で決めた」という感覚が生まれやすくなります。
- PC/スマホなど、使いやすいデバイスを選べる
- 興味があるところから順番を選べる
- 1回5分×数回など、短時間で区切って受講できる
このようなちょっとした設計の工夫でも、研修は「やらされるもの」から「自分で学ぶもの」へと印象が変わります。
ストーリーで心を動かす
セキュリティ研修は、専門的な内容になりがちで、どうしても“他人ごと”として受け流されやすいものです。そこで効果的なのが、ストーリーテリングの活用です。
ストーリーテリングとは、メッセージを物語の形で伝える手法。登場人物の行動や背景を描くことで、聞き手の感情に訴え、印象に残りやすくする効果があります。
たとえば
- 「ある社員のうっかりミスが、顧客情報の漏洩につながった」
- 「気づかないうちに標的型攻撃の踏み台にされていた」
このようなエピソードを研修冒頭に紹介すると、受講者は自然と感情移入し、「これは自分にも起こりうる」と感じやすくなります。感情を伴った記憶は、研修後も長く残ります。
事前のアナウンスで「納得感」を高める
もうひとつ重要なのが、「なぜこの研修が必要なのか」を受講前や冒頭でしっかり伝えることです。
たとえば
- 最近の同業他社のインシデントを紹介する
- 自社でもヒヤリとした事例があったことを共有する
- 経営方針や法令対応の一環であることを説明する
こうした背景を伝えることで、「他人ごとではない」「自分にも関係がある」という意識が芽生えます。理屈として納得したうえで研修に臨むことは、学習の吸収力を高める大きな要素です。
効果的な研修を実施するために
セキュリティ研修は、多くの企業にとって「やるべきこと」として定着しつつあります。
しかし本当に重要なのは、「実施すること」ではなく、「意味のある学びの場にすること」です。
今回ご紹介したように、受講の自由度を少し広げたり、心に残るストーリーを加えたり、研修の背景を丁寧に伝えるだけで、受講者の姿勢は大きく変わります。そしてその変化は、学習効果や日常の行動、ひいては組織全体のセキュリティ意識の向上へとつながっていきます。
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