生成AI、導入したけど使われない?活用をドライブする3つの推進活動



 
「全社で生成AIツールを導入したものの、一部の社員しか使っておらず、期待したほどの業務効率化に繋がっていない…。」「これから導入を検討しているが、社員が使いこなせるか不安…。」といったお悩みをお持ちの方は少なくないのではないでしょうか。
本コラムでは、生成AIを「宝の持ち腐れ」にせず、全社的な業務効率化を実現するための具体的な活用推進の方法を3つのステップでご紹介します。
生成AIを導入しただけでは効果は出ない?

ある調査※によると、『言語系生成AI』を導入済み、または準備中の企業のうち、26.8%が『期待した効果はまだ得られていない・わからない』と回答しています。この結果は、多くの企業がツールを導入するだけで満足してしまい、その後の「活用を推進する活動」に課題を抱えていることを示唆しています。
※出典:一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)「企業IT動向調査報告書2025 ユーザー企業のIT投資・活用の最新動向(2024年度調査)」

では、どうすれば生成AIの活用を全社に浸透させ、成果に繋げることができるのでしょうか。 ここからは、そのための具体的な方法を「3つの推進ステップ」に分けてご紹介します。

なお、昨今はDXも各社の重要課題となっていますが、DXとAI導入は密接に関係しています。DXとAIの関係や、AI導入を成功させるためのポイントについては下記のコラムでまとめていますので、ぜひご覧ください。
▶ 今こそ問われるDX理解。AI活用を成功に導くカギとは?

生成AIの社内活用を成功させる3つの推進ステップ

 

【ステップ1】利用ガイドラインを策定し、「使っていい環境」を整える

推進活動の第一歩は、社員が安心して生成AIを使える環境を整備することです。多くの社員が利用をためらう背景には、「何を入力していいのか分からない」「情報漏洩が怖い」といったセキュリティへの懸念があります。

まずは、以下のような項目を盛り込んだ、分かりやすい利用ガイドラインを策定し、全社に周知しましょう。
 

  • 利用目的と基本方針:「業務効率化を目的とし、積極的な活用を推奨する」といったポジティブな方針を示す。
  • 入力禁止情報:個人情報、顧客情報、社外秘の技術情報など、具体的なNG項目を明記する。
  • 利用範囲:どのような業務での利用を推奨するか(例:メール文案作成、情報収集、議事録要約など)。
  • 利用時の注意点:生成された情報の正確性は必ず人間が確認する(ファクトチェック)など、責任の所在を明確にする。

 

明確なルールがあることで、社員は「ここまでなら大丈夫」という判断基準を持つことができ、活用の心理的ハードルが大きく下がります。

 

【ステップ2】活用事例を共有し、「自分ごと化」を促す

次に、「どう使えば便利になるのか」という具体的なイメージを社内に浸透させます。一部の先行して活用している社員の成功体験は、他の社員にとって最高の教科書となります。
 

  • 活用事例の募集と共有:
    「こんな業務で使ったら、作業時間が半分になった」「顧客への提案書の構成案作成に役立った」といった具体的な事例を募集します。集まった事例は、社内ポータルやチャットツールで定期的に発信し、誰でも見られるようにします。
  • 活用コンテストの開催:
    優れた活用方法や、業務改善効果が大きかった事例を表彰する「活用コンテスト」も有効です。「あの人の使い方を真似してみよう」という動機付けになり、全社的な活用機運を一気に高めることができます。

 

身近な同僚の成功事例に触れることで、他の社員も「自分のこの業務にも使えるかもしれない」と、活用を「自分ごと」として捉え始めます。

 

【ステップ3】実践的な研修で、全社員のスキルを底上げする

ガイドラインと成功事例で「使っていいんだ」「こう使えばいいんだ」という土壌ができたら、最後のステップとして、全社員のスキルを底上げする研修を実施します。研修では、ツールの基本的な操作方法だけでなく、「プロンプト(指示・命令文)の書き方のコツ」といった、より効果を引き出すための実践的なスキルを学ぶことが重要です。研修内容の例は下記の通りです。
 

  • 優れた回答を引き出すプロンプトの基本構造(役割、目的、制約条件など)
  • 部署・職種別の業務に合わせた活用シナリオの実践演習(例:営業向けの提案メール作成、マーケティング向けの記事構成案作成など)
  • 実際にPCを操作しながら、その場で成果を体感できるワークショップ形式

 

実際に手を動かし、「なるほど、こう書けばいいのか!」という成功体験を得ることで、研修後、社員が自律的に業務で活用できるようになります。

 

推進における「理想」と「現実の壁」

 
ご紹介した3つのステップは、どれも生成AI活用を成功させる上で欠かせない要素です。
これらの活動を地道に続けることで、生成AIは単なるツールを超え、組織全体の生産性を飛躍的に向上させる強力な武器となります。

しかし、実際には「推進を担う担当者のリソースが足りない」「効果的な研修を行うノウハウがない」といった理由で、理想通りに進められないケースも少なくありません。

アスリーブレインズ 生成AIの活用推進支援のご案内

 

ここまで生成AIの活用推進の方法をご紹介しましたが、「推進を担う人材やリソースが足りない」「自社の業務に合った研修内容を考えるのが難しい」といったお悩みもよくお伺いします。

弊社では、そのような企業様向けに、貴社の業務内容や対象の方のITリテラシーに合わせて内容をカスタマイズした研修をご提供するなど、生成AI活用に関するご支援をしております。 ツールの基本操作から、特定の業務に特化したプロンプト作成演習まで、貴社の課題解決に直結するプログラムをご提案いたします。

生成AIの導入・活用推進に関するお悩みがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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