リスキリングとは|DX推進におけるメリットと進め方を解説


 

デジタル領域の人材不足が深刻化している昨今、効果的な人材戦略として注目度が高まっているのが「リスキリング」です。本記事では、リスキリングの意味や企業が取り組むメリット、DX推進に向けたリスキリングの進め方について詳しく解説します。
リスキリングとは

 

リスキリング(Re‐skilling)とは「職業能力の再開発/再教育」を意味し、事業を推進する上で必要となる新たな知識やスキルを従業員に習得させる取り組みのことを指します。ビジネス環境の変化や人手不足が進むなか、リスキリングを推進して従業員を成長分野の事業や新たな職種に再配置する企業が増えています。

リスキリングの主な目的はDX推進

企業がリスキリングを行う主な目的はDXの推進です。業務プロセスのIT化やDXは企業の競争力向上に不可欠なものとなっており、それらを担うデジタル人材を育成するためにリスキリングが活用されています。
DX推進に役立つリスキリングの主な学習領域は以下の通りです。

  • ITリテラシー
  • データサイエンス
  • プログラミング
  • 情報セキュリティ
  • AI・機械学習
  • デジタルマーケティング

 

なお、経済産業省はリスキリングの取り組みを「DX時代の人材戦略」として推奨しており、2020年11月から「DX認定制度」をスタートさせました。DX認定制度とは、DX推進の準備が整っている企業を国が認定する制度です。DX認定を受けることができれば、DXに前向きに取り組む姿勢を対外的にアピールしやすくなり、企業イメージや信用力の向上につながります。
※DX認定制度:https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-nintei/dx-nintei.html

リカレント教育やアップスキリングとの違い

リスキリングと混同されやすい用語に「リカレント教育」や「アップスキリング」があります。

 

リカレント教育は、社会人が自らの意思で仕事を休職・退職した上で大学などの教育機関で学び直すことを指します。企業主導で行われるリスキリングとは異なり、リカレント教育は個人の学びに主軸が置かれています。

 

アップスキリングは、現在の業務に役立てるために、より高度な知識やスキルを習得することです。リスキリングが「現在とは異なる業務や職種に就くためのスキル習得」であるのに対し、アップスキリングは「今あるスキルをアップデート」することを指します。

企業がリスキリングに取り組むメリット

 

リスキリングに積極的に取り組むことで、企業は主に4つのメリットや効果が得られます。

  • 採用コストの削減
  • 業務効率化・生産性向上
  • イノベーションの創出
  • 従業員のエンゲージメント向上

 

ひとつずつ見ていきましょう。

採用コストの削減

近年は市場全体でデジタル人材が不足している上、専門性が高いことから採用コストが高くなる傾向があります。また、多くのコストをかけて外部の人材を採用したとしても、その人のスキルが自社でも活かせるかどうかはわからないというリスクもあります。

 
その点、既存の従業員をリスキリングすれば、社内の部署異動や職種変更によってデジタル人材を充足させることができるため、採用コストを大幅に削減できます。

業務効率化・生産性向上

従業員がリスキリングで習得した知識やスキルをDXの取り組みに活用することで、アナログな方法で行っていた作業の自動化・効率化を促進できます。また、業務効率化に役立つITツールやデジタル技術の導入や、データの適切な管理・活用が進むことも期待されます。
DX推進によって業務工数が削減されれば、従業員はより重要度の高い業務に時間を費やせるようになるため、生産性向上にもつながります。定型的な業務の負荷が減ることで、残業代の削減やワークライフバランスの改善も期待できます。

イノベーションの創出

リスキリングは従業員の視野を広げ、これまでとは違った視点から自社の事業や業務を捉える好機となります。新たに獲得した知識・スキルを活用した革新的なアイディアやビジネスモデルが生まれる可能性もあり、事業の陳腐化および競争力低下を防ぐことにもつながります。自社の事業や業務を熟知した既存従業員によるイノベーションの創出は、企業文化をふまえてスムーズに新規事業を展開する上でも大きな価値があります。

従業員のエンゲージメント向上

リスキリングは、従業員のモチベーションや自社に対するエンゲージメント(愛着心)を高める効果も期待できます。例えば、従業員が現在の担当業務について「やりがいを感じられない」「このままでいいのだろうか」とマンネリ感や危機意識を抱いている場合、リスキリングによって新たな業務領域にチャレンジする意欲を喚起できる可能性があります。

モチベーションが低いままでは離職につながる可能性がありますが、積極的に学びの機会を与えて従業員のキャリア形成を支援することで、自社と従業員との信頼関係を深めることができます。

DX推進に向けたリスキリングの進め方

 

一般的に、リスキリングは以下のような手順で進めます。

 

  1. 従業員のスキルを可視化する
  2. リスキリング施策を決める
  3. リスキリングを実施する
  4. 習得した知識・スキルを実務に活かす
  5. 効果検証・見直しを行う

 

ひとつずつ見ていきましょう。

1.従業員のスキルを可視化する

まず、DXを推進する上で必要となるスキルを洗い出し、従業員が現時点でどのスキルをもっているのかを把握することから始めます。必要なスキルに対して、現在不足しているスキルがリスキリング対象となります。各従業員のスキル保有状況が可視化されれば、「誰に、どのスキルを習得してもらうべきか」「優先的に取り組むべきスキルは何か」といったリスキリング施策の全体像を見極めやすくなります。

2.リスキリング施策を決める

次に、リスキリングの実施方法やスケジュールを策定します。リスキリングの実施方法には社内研修や通信講座など様々な選択肢がありますが、デジタル領域のスキルは専門性が高いため、外部のIT研修サービスを利用するのがおすすめです。リスキリング向けのコースを利用すれば、より効率的・効果的にデジタル人材を育成できます。

特長②IT教育の経験豊富なプロ講師

次に、リスキリングの実施方法やスケジュールを策定します。リスキリングの実施方法には社内研修や通信講座など様々な選択肢がありますが、デジタル領域のスキルは専門性が高いため、外部のIT研修サービスを利用するのがおすすめです。リスキリング向けのコースを利用すれば、より効率的・効果的にデジタル人材を育成できます。

実施時期については、現業務に支障のないタイミングかつスキル習得の緊急度を考慮して決めましょう。

3.リスキリングを実施する

計画に沿ってリスキリングを実施します。このとき、リスキリングの学習時間は就業時間内に設定することをおすすめします。就業時間外の扱いにすると、従業員の学習意欲を低下させる可能性があるため注意が必要です。リスキリングはあくまでも業務の一環として位置づけましょう。

4.習得した知識・スキルを実務に活かす

リスキリングで習得した知識やスキルは、実務で活用しなければ意味がありません。学習したことを実践できる機会を用意し、リスキリングの成果を発揮してもらいましょう。実践機会が増えればスキルの習熟度が高まり、デジタル人材として活躍できる業務も増えていきます。

5.効果検証・見直しを行う

リスキリングの取り組みは、効果検証をしながら継続的に行うことが重要です。「新たなスキルがどのような成果につながったか」「業務の効率性・生産性が向上したか」などの観点で評価し、改善すべき点がある場合は施策を見直しましょう。適切にPDCAをまわしてリスキリングの取り組みをブラッシュアップすることで、事業に貢献するデジタル人材を育成しやすくなります。

リスキリングでデジタル人材を育成しよう
従業員の能力を再開発するリスキリングは、ビジネス環境の変化に対応するための有効な人材戦略です。特にDXを推進する企業にとって、リスキリングはデジタル人材を確保する上で不可欠な施策と言えるでしょう。

 

リスキリングは様々な部署を巻き込む取り組みとなるため、混乱をきたさないよう計画的に進めることが重要です。また、デジタル領域のリスキリングを着実に進めるには、IT教育のプロである研修サービスを活用するのがおすすめです。

 

リスキリングでデジタル人材を育成し、DXの推進力を高めましょう。

 

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